【後編】『江古田えびせん』店長に聞く『ケツイ〜絆地獄たち〜』『怒首領蜂』プレイヤーの素晴らしさとシューター・スコアラーと共にある“ハイスコア”文化

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えびせん階段

前編(トップのシューター・スコアラーは超人ではない!〜)では、トッププレイヤーのタイプ、また彼らが普段行う練習方法、実際にあった出来事や「持っている」「天才型」について、『怒首領蜂大往生』『斑鳩』のトッププレイヤーの実例からお聞きしました。

後編では、『ケツイ〜絆地獄たち〜』『怒首領蜂』トッププレイヤーのお話を元に、「メンタル」や「意識配分」の丁寧さ、そして「プレッシャー」や「プレイの精度」の凄さについて、そしてシューター・スコアラーと共にある“ハイスコア”文化について迫ります。


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『ケツイ〜絆地獄たち〜』~「いつも通り」を確実に再現するプレイヤーが持つ「メンタル」と「意識配分」〜

『ケツイ〜絆地獄たち〜』はCAVEから2003年にリリースされたゲームで、ショット・ロックショット・ボムの3種類を使って進みます。

海老原氏は「普段ゲームセンターでやるプレイと「わっしょい!」等イベントでの実演プレイは当然のことですがあらゆる意味で異なります。プレイ環境はもちろん、本番の“一発勝負”でかかってくるプレッシャー。トッププレイヤーでもこういった舞台で通常通りのパフォーマンスを発揮することは非常に困難です。しかし、どんな舞台でもほぼいつも通りのパフォーマンスを再現してきたプレイヤーがいるのです」と話しました。彼はSPS氏といい、『ケツイ〜絆地獄たち〜』(2003年にCAVEがリリースした縦スクロールシューティングゲーム)の全一(全国1位)記録を持つプレイヤーです。

彼は海老原氏いわく「メンタルの面で化け物ですね。本番では、必要以上に気負う・逆に緊張して弱気になることも多々ありますから、精神面をニュートラルな状態にするのが難しいのです。しかし彼は本番の舞台でもそれが全く見えません。本当に強い心臓を持っていますよね」とのこと。この『ケツイ〜絆地獄たち〜』、安全なパターンがあり得ないのですが、彼は「わっしょい」などのイベント登壇時、ほぼ確実に「いつものパフォーマンス」を再現し、成功(クリア)を収めているのです。

[FR] Stunfest 2014 – Grande Scène – Dimanche 投稿者

こちらは昨年フランスで開かれたゲームイベント「スタンフェスト」内でのプレイ。また、再生時間44:08頃に、解説の方が真ボス、エヴァッカニア・ドゥームを見て「ドゥームサマアア」と言っているところも注目です。フランスにもシューティングゲームのファンが多いことがうかがえますね。

ケツイは1周目をノーミスノーボムで突破すると通常よりも難易度の高い通称「裏2周」と呼ばれる特殊な2周目が始まります。つまり“一発勝負”のイベント本番で「裏2周」に突入するには、1周目での被弾は1回も許されません。このプレッシャーの中、SPS氏は数々のイベントで確実に裏2周に突入し、ALLクリアを決めてきたのです。

海老原氏によると、彼はイベント本番において「実際にプレイするパターンは変えずに意識配分を変えている」とのこと。自分が出せるパフォーマンスが100だとしたら、通常は「スコアを出すためには」に対して70を「安全に行くためには」に対して30程度を割り振っているそう。ところがイベント時では逆に「安全に行くためには」に対して70以上を割り振り、「スコアを出すためには」に対して30程度とのこと。

つまり、パフォーマンスをメンタル面という土台で支え、なおかつ本番で求められるレベルにその場で意識配分によりアレンジし、成功へとつなげている」のです。

『ケツイ〜絆地獄たち〜』公式サイト:http://www.cave.co.jp/gameonline/ketsui/

『怒首領蜂』~普段と違う「プレッシャー」の恐怖~

『怒首領蜂』は1997年にCAVEからリリースされたゲームで、ショット・レーザー・ボンバーの3種類を使って進みます。

「持っている」人でも、イベントでの一発勝負という異空間だと、本番で何が起きるかはわかりません。
海老原氏がこの例に挙げたプレイヤーはSOF-WTN氏。彼も服部氏やSPS氏同様、昨年スタンフェストでプレイをしました。
彼の最も凄い点は「プレイの精度」。その他にもメンタル・やりこみ・緊張感の抑え方など必要な要素を全て兼ね備えているトッププレイヤーの一人です。

[FR] Stunfest 2014 – Grande Scène – Samedi 投稿者

しかしそんな彼でも、本番の一発勝負では何が起こるかわかりません。海老原氏は当時、えびせん店内で常連さんたちと観戦していたのですが、序盤みな一様に「様子がおかしい」「緊張している?」と言っていたそう。ですが、硬さは見えるもののそのプレイ精度に陰りはなく、確実にコンボをつなげて各面をクリアしていきます。

そのまま1周目は見事ノーミス。しかし、2周目3面で被弾してしまいます。
ここで精神的に守りに入ってしまい、崩れてしまうことも十分に起こりえたのですが、WTN氏はむしろ吹っ切れたように攻め続けました。そして超高難易度の2周目6面、コンボを繋げ切り、そのまま見事火蜂を撃破!

やりこみは裏切らない格闘ゲームシーンで有名な言葉ですが、シューティングゲームでももちろん同じことが言えます。どんなにプレッシャーが掛かっている場面でも自分のやりこみを信じて攻め続けた素晴らしいプレイだったのです。

PlayStation.com『怒首領蜂』:http://www.jp.playstation.com/software/title/jp0571npjj00377_000000000000000001.html

シューター・スコアラーと共にある「ハイスコア」文化

とあるマンガのタイトルにもついていた「ハイスコア」ですが、こちらは雑誌アルカディア(2月に不定期刊行を発表)の「ハイスコア全国集計」というページに掲載されるもの。シューター・スコアラーの目標となり、ここに載ることはつまり「全国1位」を意味します。古くはインベーダーの時代から続くこの文化はゲームセンターで根強く続いており、今も凄腕のプレイヤー達がしのぎを削っています。

ハイスコア集計と“ともに頑張る仲間”の存在

昔、月に一回あるハイスコア集計締切り前に大学生くらいのカップル2組が賑やかな雰囲気とともにえびせんに来店したのですが、プレイヤーの一生懸命な雰囲気に圧倒されたのか無言で店内を一周してそのまま帰ってしまったことがあったそう。海老原氏は「申し訳ないとあのときは思いました(笑)」と答えていました。想像すると不覚にも笑いがこみあげてしまいます。

海老原氏はこう語ります。「人間一人が時間やお金をなげうって結果を追い求めていく世界に、怨念が入らないわけがないです。何もないわけがないですよね。」と。それは、ハイスコアというものが1点でも高ければ勝ちの世界、1位以外は0とも言える世界だからでしょう。

「ですが、たとえ負けたとしても自分が一生懸命に取り組んだことは事実ですし、その経験は決して無駄ではありません。自分が未熟だったことを素直に認め、相手を“見事!”と称賛し、次またもっと努力をすれば良いのかと思うのです」とも話しました。確かに、やってきたことは必ず活かせますよね。それに、「凄いなあ・・・」と素直に思うことは自分のモチベーションや振り返りにつながるとも思いました。

また続けて「僕も山ほど経験してきたのですが、自分が“これ以上ない!”というくらい、頑張ってつなげた会心のスコア、これがアルカディア誌面を見たら“負けていた”時はすごく落胆します。けれど、その後“その時トップを取った方”とお会いしたら、僕と同じところでの苦労や僕には思いつかなかったパターンなどいろいろなお話を聞かせて頂きまして・・・凄く楽しい時間を過ごしました(笑)。ハイスコアという世界は基本的には自分対CPUですが、競う相手がいる場合に生じるこういう出会いがやはり楽しいですね!」とも。

互いにしのぎを削る相手ですがそれは敵ではなくライバル。だから、メンタル・スキルからともに頑張っていけるのでしょう。筆者の周りでもこの状況は存在しています。和気あいあいと「負けませんよー!」「早くスコア出しなよー!」と冗談でお互い煽りますが、スキルやメンタルの情報は惜しみなく共有し、誰かが目標を達成したら“おめでとう!”とみんなで喜びます。こういう“出会い”って楽しくて素敵ですよね。

まだまだ続く!「ハイスコア」に終わりはありませんよ!

アルカディアのハイスコア集計は2月発売の168号で一時休止に。しかし、続行の見込みが立ったことが先日発表されました!
http://www.arcadiamagazine.com/

ハイスコアという言葉。切磋琢磨という印象から怖い面ばかり考えてしまいそうですが、そうではありません。結果は自分の上達や改善点を教えてくれますし、目標をたてることで頑張ることにもつながるのですね。

ゲームセンターで出来ること~「上達」「スコア」そして「仲間」~

江古田えびせん店長の海老原氏から、トッププレイヤーの実態から実例、そして“ハイスコア”文化までたくさんのお話を聞かせて頂きました。ゲームセンターでは「彼らのようになりたい!」と上達を目指すことも出来ますが、プレイヤーさん同士で交流を持ち、情報交換や雑談などいろいろな話をする仲間を作ることもできます。

私自身も、ゲームセンターやアーケードゲームを通じて多くのプレイヤーさんとお会いすることができました。誰かがやっているゲームを囲んで和気あいあい過ごしたり、情報の共有や何気ない雑談をしたり、ギャラリーとして「凄いプレイを目の前で見られるって感動!」といったり、さまざまな体験をさせて頂きました。「目標」を持って上達を志しつつ、ともにゲームをする仲間と楽しいひとときを過ごす、そんな温かな空間はいかがでしょう?とっても楽しいですよ!

【参考】前編:トップのシューター・スコアラーは超人ではない! 「江古田えびせん」の店長に聞く “シューティングゲーム”の○○と『怒首領蜂大往生』『斑鳩』プレイヤー

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