
「カナイセイジ」というボードゲームデザイナーをご存知だろうか。彼の代表作『ラブレター』は 2014年のドイツゲーム賞(簡単に言えば、2014年に発表された世界ボードゲームランキング)で4位を獲得するなど、世界に名を轟かせたことで有名である。
カナイ氏のゲームは“カードの枚数がとても少ない”ことで有名で、『ラブレター』も今回紹介するカナイ氏の最新作『エイト・エピックス』もカードはたったの16枚しか入っていない。
トランプの1/3以下の枚数で、しっかり遊べるゲームをデザインする素晴らしさにぜひ酔いしれてほしい。
さて、今回は、そんなカナイ氏がデザインした協力ダイスゲーム『エイト・エピックス』を紹介しよう。

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「奇跡を待つ暇はない。我々の手で奇跡を起こすしかないのだ。」by 英雄
『エイト・エピックス』では、プレイヤーは、神にも等しい力を持つ8人の英雄の1人となり、世界を救うことを目指します。
こんな規模のデカいテーマを本当に16枚のカードで表現できるのか?と疑ってしまいますが、安心してください。絶望できますよ。
このゲームでは、計6つの災厄が起こり、それらを全て対処することができれば、勝利となります。
内容もさまざまで、竜王だの魔帝だの、隕石だの死病だの、とにかく絶望できるいろんな災厄が満載です。
世界を滅亡させないためにも、プレイヤーの手で奇跡を起こしましょう!
あなたのさいころに世界の存亡がかかっている!
英雄が8人もいれば、結構余裕なんじゃない?と思うかもしれませんが、安心してください。全然余裕じゃないですよ。

それを裏付けてくれるのが、こちらの災厄カード。
カナイ氏に直接「8つの災厄の中で、一番やりたくないのはどれですか?」と聞いたところ、「隕石落下」と答えが返ってきましたので、こちらを例に紹介していきます。
「隕石落下」は、1個のさいころを振り1を5回出すこと、さらにその後、2個のさいころを振り合計値2を2回出すこと、そして最後に3個のさいころを振り合計値3を出さなければなりません。
(※簡単にいえば、12個のさいころを振って、全て1を出せということです)
あれ? 無理?
さらに、英雄たちはさいころを振りなおせる限度が決まっており、しかも英雄たちは一度さいころを振ることをやめてしまうと、振りなおすことができなくなります。
(※細かいルールもあるのですが、このページの趣旨の関係上、割愛します)

つまり、基本的なルールだけみれば、英雄は8人しかいないので8回さいころを振る中でクリアしなければならないのです。
それもふまえてまとめると、「隕石落下」でいえば8回で「1個振って、1を5回出す」「2個振って、どちらも1を2回出す」「3個振って、全て1を出す」 ことになります。
え? 正気なの?
はい。至って正気です。
これで、英雄たちがどれだけ無謀な災厄に挑んでいるか、お判りいただけましたでしょうか。しかし、絶望している場合ではありません。
世界を救えるのは、あなたしかいないのですから。
でも、安心してください。私たち、英雄ですから。
各プレイヤーが担当する英雄たちは自分の生命力と引き換えに、さいころの目を変えたり、振り直したり、いろいろな奇跡を起こすことができます。

この能力をうまく使うことにより、とても絶妙なバランスで攻略できるようになっています。
もちろん、やりすぎると、こんな感じで消滅寸前になるので、ご利用は計画的に。
一度お亡くなりになってしまうと、二度と復活できません。
カナイ氏曰く、世界を救うことができる確率は50%ほどだそうですが、全員生還させて世界を救うことはとてつもなく難しいとのことです。
しかし、やはり全員無事に生還し、勝利を分かち合いたいもの。
世界だけでなく、英雄たちの命運はプレイヤーにかかっているのです。
安心してください。1人でもプレイできますよ。

なんと素晴らしいことにこのゲームは1人でもプレイできます。
カナイ氏も夜にひたすら、このゲームのテストプレイを繰り返し、このゲームを完成させたとのこと。
私もプレイしましたが、「クリアするのは無理!」と思わせながら、「もしかしたらいけるかも!?」とも思わせてくれる絶妙なバランスが素晴らしいと1人で盛り上がっていました。
もちろん、1人プレイだけでなく、8人までプレイ可能など、幅広い人数をカバーしているところもいいですね。
※カナイ氏におすすめのプレイ人数をインタビューしたところ、「1人プレイ」か「さいころを振る回数の多い4人程度のプレイ」が良いそうです。
そして、特筆すべきはルールブックの1/4がカナイ氏のこだわる世界観の説明だけで構成されているところです。 全ての英雄の説明はもちろんのこと、なんと発生した全ての災厄まで解説されている徹底ぶりはお見事。
あまり巷にはない、1人でもできるさいころを使った協力ゲーム『エイト・エピックス』をぜひ一度、体験してみてはいかがでしょうか。
エイト・エピックス:©カナイ製作所/カナイ セイジ
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