【インタビュー】「人の心にちょっとトラウマを残したい」…『NomNomGalaxy』Q-Games

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ゲームクリエイターの熱い想いとこだわりを探り出す「中の人に会いに行く」企画。
今回紹介するのはQ-Games「NomNomGalaxy」制作者の皆さんです。

「NomNomGalaxy」は、ロボ社長の運営するスープ会社の社員として、担当の惑星でスープをつくり、輸送し、宇宙スープ市場の独占を目指す「2D・スープバトル・アクションゲーム」です。


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紆余曲折試行錯誤を経て

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ーー平: 早速なんですが今回「NomNomGalaxy」のタイトル、どういったスタートだったんでしょうか。

澤:「NomNomGalaxy」自体、3年ほどやっていました。最初はやっぱり、PixelJunkの新しいタイトルが作りたい、という事で始まりました。 サンドボックスタイプみたいなゲームが当時色々出てきていたところで、 自分達が思うサンドボックス※って、どんな感じだろう?と考えていました。一番最初は「PixelJunk1-6」というプロジェクトとしてスタートしました。 途中で「PixelJunkInc.」になったんですけど、どこからかまた名前を変更して、 今の「NomNomGalaxy」になりました。

ーー平: 紆余曲折あったタイトルなんですね。

澤:そうですね。 今回新しいスタイルで開発しようというのがありました。 初めてのSTEAMプラットホームに加え、 その開発ブログのようなものを、開発段階から結構情報を見せていこうっていうスタイルでやりました。
アーリーアクセスだったり、そういった新しいものにチャレンジしたというのもあり、より思考錯誤の部分が 結構長く続いたかなと思います。

伊藤: アーリーアクセスでやったというのは、 日本のタイトルで初めてになるのではないでしょうかね?

僕等は、正式リリースという形ではなくて、アーリーアクセスという形で販売して購入して直ぐに遊べる状態でやり始めたっていうのは、多分いまだに日本からのタイトルは我々だけじゃないでしょうか。

ーー平: ユーザーさんと一緒に寄り添いながら作っている、 ってイメージです。 コンセプトとしては、そのようなところはあったんですかね。

澤:やっぱり開発ブログを付けてるからには、その時点で様々な意見というか、 反応を聞きたいっていうのはあります。
でも、Q-Games的なこだわりも基本的には強い方なので、 そこの折り合いというのは今回ポイントになったかなと思います。

山村:面白かったのは1発目出して「あれ?キーボード対応してないね」ってなって 直ぐに対応した、みたいな。

澤:その日にパッチを出した、みたいなね。 そういうリアルタイム性というか。

山村:そこも僕等は開発をXboxコントローラーでしてきていたので、 それが当たり前になってしまっていました。
PCのプラットホームなのに「キーボード無いやんけ」って言われて「 ほんまやねぇ」くらいの勢いで。

澤:コンソールの常識に、ちょっと慣れ過ぎてた部分もあって。

PCゲーム自体が今回初めてだったので、逆にユーザーの方に教えてもらうくらいの感じでやっていましたね。
そもそも、PCごとに環境が違うという事も、なかなか苦労の点でしたね。

持ち味を生かしながら制作を進める

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ーー平: 元々このゲームの制作のきっかけは、どういった所だったんですか?

澤:最初、社内のプランナーがサンドボックス作ってみたいって言うのから始まったんです。 ただ、普通のサンドボックスでは面白くないという所にぶつかって。
普通サンドボックスゲームは、あまり目的が無くて自由に作っていくっていうスタイルが多かったと思うんです。ですが僕達はそうじゃないサンドボックス、 ちょっと目的が得られるサンドボックスを作ろうというところで、 今のゲーム性に落ち着いているような感じですね。
他のものとは違って、割とステージが進んでいく感じです。 でも、自由さもそれなりにちゃんとあってっていう、バランスですね。

山村:それで言うと、アーリーアクセスをやるにあたって、ステージ数とかどういう進行させるかっていうのも、 結構、白紙とまでは言いませんが凄いフワッとした状況の中で、 遊びの部分だけはしっかり遊べるように作っておいて。

澤:Q-Gamesのやり方でもあるんですが、 そんなに最初からビッチリ計画を決めないっていう事ですね。作りながら決めるっていうスタイルがやっぱり、Q-Gamesの持ち味でもあるので。 今回はそこにユーザーさんが、参加してくれたというような状況だと思います。

ーー平: アーリーアクセス自体は、実際やってみていかがでした?

伊藤: 特に、日本人のPCゲーマーさんが楽しんでくれたなぁと思います。 ゲームの中でたくさんマシーンとか出てくるんですけど、 そういう新たな機能を持ったマシーンを作って欲しいだとか、では作りますっていうような、 ダイレクトなやり取りを凄くよくユーザーが喜んでくれたなって印象はありますね。

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ーー平: 一緒に作ってる感をユーザーさんが感じられたからこそ、 ユーザーさんも積極的にデバッグも含めて参加されているっていうのはあったんでしょうね。
「NomNomGalaxy」を制作する上で、大切にしていたことや こだわっていたことはありますか?

澤:そうですね。 ひとつは主人公が、サラリーマンっていうところですね。

あの会社はお察しの通りブラック企業というか、やっぱりちょっと怖い社長がいて、 で、どっかの適当な現場に送り込まれて、働かされるというような。
そのブラックさをちょっと、この可愛いアートで包み込んで、 プッと笑えるような世界観になっています。 割と社会性というか。

ーー平: 社会風刺的な。

澤: そうですね。 だからあまり、プレイヤー自身もそんなにスーパーマンにならないように。
やっぱりゲームを作っていく上で、主人公はどうしても強くしていきがちな所を、 あえてセーブして、あくまでサラリーマンなんだっていう所を守りながら、 と考えていきました。

ーー平: あくまで、こいつはサラリーマンなんだっていうのを常に考えながら、 これいるか?みたいなところで構成したっていう事ですよね。

澤: そうですね。 まぁQ-Gamesは割と、ミニマルな最小限の要素っていうのを常に意識して、 この小さい実験を繰り返していって本当に必要な機能だけを、ちょっとずつ積み上げていく。そういう考え方で作っています。
今回であれば、サラリーマンらしさを。
ちょっとモラルの欠如と言いますか、 トマトのような化け物を入れて、スープを出荷している。この背徳感みたいな事を。 でも、会社の命令だからしょうがないみたいな。
思わず共感できるかは分からないですけど、ちょっと そういうピリリというような所っていうんですかね。

山村:それを、何か世界の果てでやってるというようなイメージなので。
日本人が考えるサラリーマン像みたいなのが 結構色濃く反映されてるのが、面白い所かなと思います。
絵柄でいうと、最初はもっとフラットなデザインでした。ディティール等はあまりないような感じだったんですが、密度感を出していきたいっていう声があったので、 書き込まれているような絵柄にどんどんなっていきました。

ーー平: なるほど。 結構デザイン側とプログラム側は、常に一緒にブレインストーミングも含めて 密にコミュニケーションとっていたんですね。

澤: ほぼこの3年間作っていたのが、僕と山村君。 今回は上司がいてその人が考えてそれを作るというよりは、 結構僕達2人で考えていくっていう、任された感じですね。 ゲームの内容なども含めて、自分達で考えていった部分は 多かったですね。

人の心に少しのトラウマを残す

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ーー平: ちょっと出されたばっかりであれなんですけど、今後どんなゲームを作っていきたいですか。会社としてではなく、個人の意見としてお伺いできればと思うのですが。

澤: そうですね、言い方が難しいですけど、 人の心にちょっとトラウマを残したいなと思います。
やっぱり自分の心に残っているゲームって、考えると 面白いって言うだけじゃなくて、 例えばRPGだったらちょっとした失恋をしたような気分になったりとか、 その傷が残っている。
それを消化しきれない、消費されきらないゲームって言うんでしょうか。

伊藤: エアリス(FinalFantasy7)みたいなやつ?

澤: そうそうそう、 あれもトラウマですね。

山村: 僕は、笑って泣けるものが作れたらなって思います。
「NomNomGalaxy」でも、ロボットとかって何かちょっとひとつの事しか出来ない。 ロボットが一生懸命働いてるのって結構笑えるけど、 何か物悲しさもある。 面白いだけじゃない。
そういう気持ちになるようなものが作れたら良いなと、個人的には思います。

ーー平: ありがとうございます。
最後の質問になるんですけれども、皆さんにとって「ゲーム」とは何でしょうか?

伊藤: 人生そのものに近くなってくんちゃうん?

澤: 半生ゲームに携わりつつあるんで、そうですね。 人生と言ってしまえば、簡単ですけど。 この前それ凄い考えて、良いのが思いついたんですけど、忘れちゃいました。 あれ、これやぁっての思いついたんですけど。

伊藤: 後で、メールで送っておくしかないですね。

澤: そうですね、仮で「人生」で。

山村: 今聞かれているゲームとはっていうのは、 ゲーム作りという事ですか。それともゲーム自体という事ですか。

ーー平: ゲーム自体ですね。

澤: そういう意味では、やっぱりゲームって体験だと思います。
さっき言った様に、自分が生きている中で、面白いだけじゃないさまざまな感情があると思うんですけど、それを体験させるものって考えた時に、 やっぱりゲームってもっと大きい解釈ができると思うんですよね。
ただのシステムじゃない、遊びじゃないっていう部分。
心を揺さぶるものというか、それがゲーム作りにも反映されていると思いますし、 そこはすごく意識しているところです。

ーー平:ありがとうございます。質問は以上になります。
とても素敵なチームですね。今後のさらなるご活躍を楽しみにしております!
本日はお時間ありがとうございました。

澤&山村&伊藤: こちらこそありがとうございました。

おわりに

【制作者プロフィール】
sawa_yamamura
有限会社 キュー・ゲームス

澤 達郎 (Tatsuro Sawa)
1984年京都生まれ。
幼い頃からゲームに没頭。中学生でゲーム作りに目覚め、順当な教育過程を経ないまま独学でプログラミングを勉強。某大手ゲーム会社を経て、2008年Q-Games入社。主にPixelJunkシリーズを担当。

山村 康芳 (Yasuyoshi Yamamura)
1986年広島県生まれ。
広島県の高校を卒業後、京都デザイン専門学校へ入学。在学中にQ-Gamesのスタジオディレクターに出会い、卒業後2009年Q-Games入社。主にPixelJunkシリーズの開発に参加。

▷Steam:http://store.steampowered.com/app/226100/
▷公式HP:http://www.q-games.com/

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