【インタビュー】「ゲームって楽しいもの、それを純粋に伝えていきたい」…『PICO PARK』TECO PARK TECO

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ゲームクリエイターの熱い想いとこだわりを探り出す「中の人に会いに行く」企画。
今回紹介するのはTECO PARK「PICO PARK」制作者のTECOさんです。

「PICO PARK」は2人から最大10人で遊べるPC用アクションパズルゲームです。
USBゲームパッドやスマートフォンをコントローラにして、最大10人でひとつの画面を見ながら遊ぶ事もできます。
「大人数で協力する楽しさ」を堪能できるゲームになっています。


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Kinectから始まった創作活動

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ーー平:本日はどうぞ宜しくお願いします。
まずはじめに、TECOさんとしての活動はいつ頃から行っているのでしょうか。

TECO:ゲームにしぼらなければ、2011年くらいからです。
初めはKinectを使った、インタラクティブな物ですとか、ゲーム性というよりも驚かし系の作品を作っていました。元々ゲームを作る気はあったのですが。

ーー平:Kinectは、そのゲームの研究のような感じで触っていたのでしょうか。

TECO:仕事でKinectを触る機会があったのですが、仕事以外でKinectでやってみたい事があったんです。
例えば「ドラゴンクエスト」の戦闘画面があるじゃないですか。
ファミコンの方の画面をイメージしていただけるとわかりやすいのですか…
Kinectでスクリーンの前に立つと、あなたが戦闘画面の、スライム側に立てますよ、という。
背景を切り抜いて、戦闘画面と合成させて。

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ーー平:それは自動処理ですか。

TECO:自動処理で、コントローラーで入力も出来るので自分に対してダメージを与える、攻撃することも出来ます。
アートイベントなどに出した時は、海外の方々などはノリノリで、ダメージが当たっても痛くないのにリアクションしてくれるんです。

ーー平:良いですね。
では最初はインタラクティブアート寄りな活動をされていたんですね。「PICO PARK」自体はいつごろから制作されていたのでしょうか。

TECO:全然リリース出来る状況ではありませんでしたが、一番最初に人にテストプレイをしてもらったのは2013年の秋です。

ーー平:その時からずっと開発を含めておひとりでやっているのでしょうか。

TECO:そうですね。ひとりでやってきました。
音だけは趣味で作曲している友人にお願いしていますが、プログラムや企画、デザインはすべて自分でやっています。

ひとつの画面にみんなが集まり楽しめる機会を作る

ーー平:「PICO PARK」は、10人でやるゲームというのがかなり斬新だと思うのですが、制作をはじめたきっかけは何でしょうか。

TECO:いくつかの要因があります。
ひとつは、僕は友達の家に行って、友達と遊ぶというのをやっていた人間だったんです。
最近は携帯ゲーム機が普及して、多くの人が自分のパーソナルな画面を見て遊ぶようになっていますよね。
最近一緒に集まって遊ぶゲームはあっても、見るのは自分の手元の(携帯ゲーム機の)画面ばかりです。
自分の手元の画面だけを見てプレイするのと、ひとつの画面をみんなで見てプレイするのは、やっぱり違うと思いました。

例えば、親の立場に立ってみると、テレビ画面であれば子供がどんなゲームをしているか一発でわかりますが、携帯ゲーム機などだと何をしているかわからないですよね。

みんなで集まってひとつの画面でわいわい遊ぶのは、自分たちも楽しめるし、見ている側も楽しめると思うのですが、今はそういった光景を見る機会が減ってきてしまったのではないかなと思ったんです。

ーー平:確かにそういった光景は減っているのかもしれませんね。

TECO:あとは、最近アナログゲーム、ボードゲームも盛り上がっているじゃないですか。ボードゲームってどちらかと言うとみんなで集まってみんなでわいわいするゲームが多いですよね。
でもデジタルゲームにはああいう風に、みんなでわいわいするゲームは少ないと思ったんです。

ーー平:なるほど。あまりパッとは出てきません。

TECO:デジタルゲームだから出来ない、というわけじゃないよな…じゃあ作ろう、と思ったんです。

ーー平:Bitsummitでの反応はいかがでしたか。

TECO:反応としてはすごく良かったです。
盛り上がってくれたし、楽しさが伝わってくれたかな、という手応えはありました。

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ーー平:「PICO PARK」を実際にイベントなどに出して遊んでもらって、気づいた事などはありますでしょうか。

TECO:たくさんありました。
僕は「PICO PARK」を複雑なゲームにしたくなかったんです。シンプルに、自由にしたかったんです。
こう協力すれば良いんだというのを、何回か考えたらわかるような導線を引きたかったのですが、やっぱり説明をしないと気づいてもらえないな、ですとか。
自分だけがこうすれば良いというわけではなく、誰かが誰かにある程度指示をしなければいけなかったりコミュニケーションをとって協力しなければならない部分があるので、それをスムーズにするにはどうしたら良いのか、とか。
思ったようにコミュニケーションをとってくれないな、というのがあったりしました。

ーー平:単独プレイじゃ何も進まないゲームですもんね。

TECO:そうなんです、必ず協力が必要で、コミュニケーションをとらなければならないので。
イベントに出してみると、こうしたらわかってくれるんじゃないか、とかそういう気づきはありました。

「ゲームって楽しいものだよ!」と純粋に伝えてたい

ーー平:過去の作品や「PICO PARK」を含め、制作するうえでこだわっている事は何でしょうか。

TECO:それを体験した時に、お客さんがどういう言葉を出すかな、という事に注目しています。
どちらかというとイベントに出すことが多かったので…みんながわいわい盛り上がっている、その「わいわい」とは声だと思っています。
例えば「PICO PARK」だと、「せーの、右!」「せーの、ジャンプ!」とか、「右右右!」「左左左!」だとか。「点呼とるよ、1、2、3、4、5」だとか。
このステージをやったら、ユーザーさんはどういう言葉を出すかなというのは、結構こだわっている部分ですね。

ーー平:その考えは新しいですね。
本当に、そこから生まれるコミュニケーション、言葉は何ぞやというところから作られているんですね。

TECO:そうですね。
あとは、遊び方を説明したくない。触りながら気づいてもらいたいです。

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ーー平:そもそも、TECOさんがゲームの制作に関わったきっかけというのは何でしょうか。

TECO:子供の頃からゲームが好きな子供ではあったんですが…高校生から大学へ進み将来のことを考えた時に、僕はどっちかというと理系の人間で家にはコンピューターがあったので、自然とソフトウェア関係の仕事というのがイメージしやすかったんです。
でも例えば銀行とか。今思えば色々とやりがいがあると思うのですが、その時は銀行のしくみですとか硬いイメージに魅力を感じなかったんです。

ーー平:自分がイメージできるところに行きたかったのですね。

TECO:そうですね。
そこでゲームって楽しそうだな、作れたら楽しそうだなと思ったんです。
それで、ゲームに関わりたいなと思うようになっていきました。

さっき言った人を驚かせるようなインタラクティブな作品や、いま作っている10人で遊べるものとか、そういったところを強く意識しているきっかけとしては、ゲームに対しての否定的な目線や意見もあるので、そういったところに向けて「ゲームって楽しいものだよ!」というのを純粋に伝えていきたいという気持ちがあるんです。

「PICO PARK」は親がやっても子供がやっても、誰がやっても楽しいと思ってくれるだろう、という気持ちもあったので。

ーー平:確かに教育によろしくない、だとか、定期的に騒がれますもんね。

TECO:そうですね。
でも実際、「PICO PARK」を塾や学校などの教育現場に持って行って、親御さんにも遊んでもらったりしました。

ーー平:ゲリラでですか。

TECO:僕がツイッターで、もしも遊んでみたい場所があったら持っていきますよ、と発信していたらたまたまそれを見かけた先生が声をかけてくれたんです。
始めは子供達だけに遊んでもらって、そのあと親御さんも一緒に遊んでみませんか、みたいな感じで。

ーー平:そういったところから実際に、教育現場につながるというのは良いですね。
それで実際行く、という行動力も素晴らしいです。
では持って行った現場ではわいわいガヤガヤと。

TECO:そうですね。
最終的には先生とお子さん、お父さんお母さんも、あの光景はちょっと…あぁ、いい光景だな、と思いました。

ーー平:良いですね、クリエイター冥利に尽きますね。

TECO:そうですね。

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みんなでワイワイする楽しさを表現していく

ーー平:TECOさんがこういったゲームを作るきっかけになった、思い出のゲームなどはありますでしょうか。

TECO:ふたつあって、ひとつがサターンボンバーマンです。
サターンボンバーマンというのが、マルチパットを繋げて繋げて、10人対戦できるんですよ。

ーー平:そういえば、そうですね。

TECO:よくよく考えたらサターンボンバーマンってパソコンでも作れると思いました。
大人数ゲームはそんなにない、じゃあ俺作ってみよう、というのもあったんです。
そういった意味でサターンボンバーマンというのがというのは、ひとつヒントを与えてくれたゲームです。

あと、もう一個が「ゼルダの伝説 四つの剣」です。
これは協力ゲームだったのですが、ゲームキューブでコントローラー四人で協力して謎を解いて進んでいくゲームです。大学の部室で、部活の後にやっていました。それで協力ゲームって楽しいと思いました。
四人で協力して、誰も嫌な気持ちにならないという。いつかこういうゲームを作ってみたいなと思わせてくれたゲームのひとつですね。

ーー平:では本当に、ゲームはみんなで楽しく遊ぶんだ、というのを具現化したという形ですね。
「PICO PARK」自体は、何か次の展開などは考えているのでしょうか。

TECO:僕自身は一箇所に集まって、ひとつの画面を見てわいわい遊べるゲームを作りたい、というコンセプトで作ったのですが、中にはオンラインで遊びたいって方もいるので…

ーー平:また違った難しさがありますよね。

TECO:元々のコンセプトとは違うのですが、オンラインモードであったりとか、スマホでローカルに集まって遊べるモバイル版を作ってみようかなと考えています。

ーー平:みんなで遊ぶ、という概念を拡げていくという事ですね。

TECO:そうですね。
モバイル版はやっぱり、みんなで集まったならではの遊び方をさせたいな、と思っています。
ひとつの例は、自分の画面にみんなの画面が写っているわけではなくて、みんなの画面を繋げるとひとつの画面に見えるような。
「あれ、この並び方違くない?俺のほうが上だよね?」とか「これ縦4つに繋げないとクリア出来なくない?」みたいな。
実際に持っている端末を繋げるような、モバイルで、みんなで集まってならではの遊び方もさせてみたいと思います。

ーー平:それは楽しそうですね。新しいですね。
今年はBitsummitなどのイベントに参加されるご予定はありますか。

TECO:Bitsummitに申し込んだのですが、「PICO PARK」を完成させましたが新作ではないので。
新しいステージは持ってきたけど、ゲーム自体は新作ではないので、、Bitsummitが出させてくれるかどうかがわからないですね。Bitsummitに出れるなら出たいと思っています。

あとは文化庁メディア芸術祭に出したいですね。エンターテイメント部門があるので、そこで六本木新美術館に置いてもらえたらな、と。

ーー平:そこでみんな遊んでいたら良いですね。その姿見たいですね。ひとりでも多くの方に遊んでもらえる場所に出していきたいですね。

TECO:そうですね。そういった意味では、僕はイベント自体の主催もやっているんです。「Pixel Art Park」という、ドット絵をテーマにしたアートイベントです。
去年1回目と2回目をやって、2回目は1,000人くらいの人が来てくれたんです。

ーー平:そんなに来たんですか。

TECO:僕も宣伝しすぎた、と思ったくらいです。
前回は14〜15人くらいのクリエイターでやったのですが、それを2016年9月25日にさらにでかいイベントにしようと準備中です。
音楽、ハンドメイド、イラスト、ゲーム…ドット絵をテーマにした色んな物を扱っているので、それも利用して自分で主催しつつ、自分も利用して集まった人達にわいわい遊ばせてみたいなと思っています。

next

ーー平:良いですね、ぜひ遊びに行きたいです。
「PICO PARK」以降は、今後どういったゲームを作っていきたいというのはありますか。

TECO:日本のインディゲームシーンの中で協力ゲームっていったらTECOだよな、みたいな。
「協力」っていうテーマは軸にしていきたいと思っていて…遊べる人数とかは違うかもしれないんですけど。

ーー平:そこのコンセプトを中心にゲームを作っていかれるという事ですね。

TECO:そうですね。なので、対戦ゲームを作るにしても、協力対戦。1対4とか。1対1じゃなくて、2対2だったり、3対3だったりとか。
 
ーー平:そこに、一緒にやる意義が出てくるようなゲームということでですね。

TECO:そうですね。

平:最後になりますが、TECOさんにとってゲームとはなんでしょうか。

TECO:ゲームとは…そういった表現であると、まあ広い意味で楽しいもの、ですね。

平:楽しいもの。
これは人それぞれの楽しみ方、一緒にやることでの楽しみ方、どちらも引っくるめての楽しさでしょうか。

TECO:そうですね。
僕はその中でも、皆でわいわいする楽しさというものを表現していきたいと思っています。

ーー平:良いですね。こういうゲームが普及すると、ゲーム好きの人がインドアみたいな、ジメジメしたイメージも払拭されるのではないかと思いますね。
本日はお時間いただきありがとうございました。

TECO:ありがとうございました。

【プロフィール】
teco

TECO PARK
TECO

2011年から活動中のインディーゲーム制作者。
2016年に2人から10人で遊べる協力ゲーム「PICO PARK」をSteamにて販売。
他にもKinectを使ったインタラクティブな作品も制作したり、ドット絵似顔絵作家としても活動。
ドット絵アートイベント『Pixel Art Park』の主催の一人。

▷PICO PARK(STEAM):http://store.steampowered.com/app/461040/
▷Pixel Art Park公式サイト:http://pixelartpark.com

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