【インタビュー】「細部までこだわり、妥協はしない」…『Strange Telephone』Magniflop yuta

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ゲームクリエイターの熱い想いとこだわりを探り出す「中の人に会いに行く」企画。

今回紹介するのはMagniflop「Strange telephone」制作者のyutaさんです。


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独創性と細部へのこだわり

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ーー平:本日は宜しくお願いします。
まず、yutaさんのサイトや作品を拝見するとドット絵がすごく印象的だと思うのですが、これもデザインを含めてすべてyutaさんが作っているのでしょうか。

yuta:そうですね。一応こだわりとしては、全て自分でやるという事で。
僕は普通の学校にしか行っていないので、ドット絵を特に学んだわけではありません。
ドット絵は多分…中高生くらいの時にSTGサークルというiアプリがありました。これはシューティングゲームをiアプリの中で作れるというゲームでなんですが、その中でドット絵を携帯で打って、簡易スクリプトで簡単なプログラムをその中で組むことができて、その作ったやつを投稿できるんですよ。
その掲示板で様々な方々と交流しながら、中3くらいの時からドット絵を学びました。

今、制作中の「Strange Telephone」もすべて自分で描いていますね。

ーー平:このゲーム、「Strange Telephone」を制作しようとしたきっかけは何だったのでしょうか。

yuta:元々はミニゲームのようなものしか作っていなかったんですが、ちょっとストーリー性をもたせたゲームを作ってみたくて。
身近にあるものを題材にしたいなと思っていて、携帯電話とかは誰もが持っている身近な物なのでちょっと電話を題材にしてみようかな、と思って作り始めました。
今はだいぶ形が変わってきてしまったんですが、最初は本当に電話をかけるだけで部屋の中に色々起きるというような、ただただ電話をかけるだけのアプリを作っていたのですが、開発を続けているうちにストーリーのようなものを追加しつつ、というような感じですね。

去年のBitSummitに出展させてもらって、そこで何百人とかの方にプレイしてもらったんですが、自分がひとりで作って思っていた操作とは違う操作をプレイヤーの方がやってくれるんです。
それを見て、作り直さないとダメだなと思い途中で一から作り直したりもして。
結局制作期間は現在までで一年かかっています。

ーー平:ゲームの内容としては脱出ゲームのようなイメージを思っていたのですが。

yuta:そうですね、去年のBitSummitの段階では脱出ゲームでしたね。
今は脱出ゲームというよりは、一番最初に思いついた電話をかけると何かが起きる、というところにもう一度重点をおいています。
脱出ゲームにすると電話じゃなくても良いのではないか、となってしまうので、より電話をかけるというところをメインにストーリーを進められるゲームを目指しています。

内容としては、主人公の女の子が、グラハムという電話の姿をしたキャラクターが作りだした世界で様々な体験をするというゲームです。
電話をかけると部屋の中で何かが起きたり、誰かの話を聞くことが出来て、直接人物が出てくるという事はないんですが、電話だけで他人と繋がる、という内容です。

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ーー平:BitSummitや様々なメディアで拝見して、「世界観がオシャレ!」というレビューを多く見かけたのですが、そのあたりもこだわって制作されているのでしょうか。

yuta:結局ひとりで作るので似たようなゲームを作っても意味がないな、と個人的に思っていて、やっぱり独創性というものは意識しています。
例えばアクションゲームだとかわかりやすいものではなくて、より組み合わせたものを作るようには意識しています。

ーー平:一言でパズルゲーム、とかアクションゲームと言い切れない、そういった枠にはまらない、色んな組み合わせというところを意識されて作られているんですね。

yuta:そうですね。

ーー平:「Strange Telephone」も含めて、制作をする上で大切にされていることですとか、こだわりはありますか。
先ほど独創性、とひとつお伺いしたのですが、その他にも。

yuta:ひとりでやっているので、妥協する必要がないと言いますか…複数人でやると平均的なところまでしかこだわれないところを、ちょっと尖れると言いますか。
ここはこだわりだ、というところを強く出せたりとか。
ちょっとしたメニュー画面の動きであったり。

ーー平:ディテールまでとことん、ですか。

yuta:そうですね。
意外とプレイヤーの方はそういうところを見て、動いた、ですとか、こだわりがあるんだなというのを感じてくれるというのがBitSummitを通してわかったので。
ただ、元々細かいところにこだわる、というのは昔からずっと続けてきたつもりです。

人と繋がる部分で楽しさがある

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ーー平:普段から生活されている中で、これは活かせるな、というようにゲームに活かすというのは無意識に考えていたりされるんでしょうか。

yuta:そうですね。自転車で通勤しているときに、ふと思いついたりしますね。
あとは音楽を聴いていると一番アイデアが浮かびます。曲からイメージして、ゲームの表現に使う、というのはよくありますね。

ーー平:yutaさんの場合だと、独創性の強いものを作られているので、時間がかかっても色あせた感とか、そういうのが関係ないというのが強みかもしれないですね。

yuta:そうだとありがたいですね。
でも結構時間がかかってしまっているので、待ってくれている人に申し訳ないな、急いで作らなきゃいけないな、と思う反面、妥協しちゃいけないな、という葛藤もあります。

ーー平:難しいですね。
今回の「Strange Telephone」に限らずなんですが、作っている上で楽しいな、と思う部分はどこでしょうか。

yuta:でもやっぱり反応ですかね。
去年のBitSummitでもプレイしてもらって、ちょっとここやりづらかった、とか、ここ面白かったとか。
ちょっと怖がらせるところを作ったのですが、そこで本当に驚いてくれたりとか。
結局人と繋がる部分で、楽しさがあります。
ひとりで個人的に作って、それを自分で遊んでもあんまり面白くなくて、やっぱり誰かにプレイしてもらって、その反応を知るというのが一番面白いな、と思います。

ーー平:やっぱりゲームの醍醐味として、プレイヤーとゲームが入り混じる事で…
自分の意図したところにハマったな、となるのが気持ちいのでしょうね。

yuta:予想外なところもあるんですけど、それもまた面白いなと思います。
こんなところで興味が湧くんだ、というところでプレイしていただいた方が喜んでくれたりとか。
だからこそ、こだわり、妥協しない、というのは意識しています。

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ーー平:ゲームを作っていく中で、モチベーションのをコントロールするのが難しいという話を多くの方から聞くのですが、どう維持しているのでしょうか。今回は特にの開発をはじめてから一年間というお話ですが。

yuta:正直、一番ネックだと思います。
何度も何度も繰り替し自分の作っているゲームをやり直していると、飽きてくるんですよ。
同じところのプレイに。

そういう時は新しい…同じところを何回も作らないと、例えばバグをとったりとか、しなきゃいけない作業もあるんですけど、新しいデザインのところを作ると、ちゃんとこのプロジェクト進んでいるな、という感覚があるので、そういったモチベーションの上げ方をしています。
同じところばかりをやっていると、どうしても頭が回らなくなってしまうので。

ーー平:ちゃんと全体として進んでいるという、というのを自分でも感じられるような作り方を…

yuta:そうですね。ひとつのところよりは、複数のところを進めてモチベーションを維持する、という。
たぶん、皆さんが言う、っていうのは、本当に同じ気持ちなのだと思います。

ーー平:これまでにご自身のターニングポイントとなったですとか、何か思い出のゲームというものはありますか。

yuta:さっき上げたゲームはソニーのゲームなのですが、基本的には任天堂のゲームが大好きで、有名どころだと「ゼルダ」や「メトロイド」ですね。
世代的にちょうどスーパーファミコンだったので、小学校の時は毎日のようにスーファミをやっていました。
未だに結構昔のゲームを集めていたりするんですけど、その時代のゲームがなかったらこういったドットのゲームを作ってはいなかったな、と思います。
その時の記憶が焼きついているからこそ、ドット絵でゲームを作ろう、という気持ちになっているのだと思います。

ーー平:僕もたまに中古ゲーム屋さんなどに行くと、ノスタルジックな気持ちになりつつ、やっぱりまだまだ、ゲームプレイとしては色あせないものなんだな、と思いますね。

yuta:そうですね、やっぱり面白いゲームはいつやっても面白いなと思います。

「Strange Telephone」制作は佳境に

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ーー平:「Strange Telephone」はいつごろリリース予定ですか。

yuta:2016年春リリース予定だったのですが、もう春になってしまったので。
今年は色んなフェスなどにも参加していく予定で、通るかはわかりませんが、BitSummitにもエントリーしている状態です。
なのでBitSummitまでには…期間としては7月までには、リリースまでいけたらな、と思っています。

ーー平:「Strange Telephone」は今何%くらい完成しているのでしょうか。

yuta:システム的にはほとんど完成しているので、あとは内容ですね。ボリュームの部分を。
プログラム自体はほとんど終わっています。
ストーリーであったり、会話のイベントであったり、そういった内容が…全体としては6割くらいです。

ーー平:ではここから一気にラストスパートをかけて。

yuta:そうですね。なんとか7月までに、完成までもっていきます。

ーー平:BitSummit楽しみにしています。
では、まだ先の話になりますが、今後どういったゲームを作りたいというのはありますか。ご自身の作りたいと思うドット絵の世界観を生んでいきたいという感じですか。

yuta:そうですね、ただ表現としては今、VRとかも流行っていたりするので…
全然3Dが嫌だというわけではないんですけど、たぶん技術的にドット絵が一番個人で開発しやすい手法だと思っているんです。
一枚の絵を描けば、それを微調整すればアニメーションを作れたりするので。

もし今後3DでやれるとしたらVRとかもチャレンジしたいと思っていたりしますし、
ジャンル的には、一番近くではパズルゲームを作りたいなと思っています。
手軽で長く遊べるようなアプリとか。
スマホ向けであれば、パズルとかがやりやすいのかなと思ったりするので、「Strange Telephone」が完成したらパズルゲームを作りたいな、と思っています。

ーー平:最後に、難しいとは思うのですが、yutaさんにとってゲームとは何でしょうか。

yuta:そうですね。
当たり前のように存在する物だとは思います。
結局ゲームをやると…ひとりでやると、日々の疲れであるとか、ストレスをぶつける場でもあるし、ゲームを通して、友達とかネット、オンラインゲームだとかでコミュニケーションを取る場でもあるし。身近に存在する娯楽で、一番気を許せる場、と言いますか。
すごく抽象的な感じになってしまったんですけど。

ーー平:中学生の頃からご自身で作られていたとなると、空気のように当たり前に存在する存在でしょうか。

yuta:そうですね。日々生活のどこかにいるもので、すごく親近感があります。
ゲームってだけで、知らない人とも気楽に関われたりとか。
でも逆にゲームを通さないと、やっぱり緊張したりしちゃうんです。
なぜかゲームだと気軽にコミュニケーションを取れる、すごく良いものだな、と思います。

ーー平:他人との距離を縮めるツールでもあるんですね。
本日はとても興味深い話しをありがとうございました。

yuta:ありがとうございました。

おわりに

ドット絵を使った独自の世界観をゲームに落とし込んでいるyutaさんにお話をお伺いしました。

海外のファンもいらっしゃるということで、今後の益々の活躍が楽しみですし、まずは、BitSummitまでに完成予定の「Strange Telephone」で繋がる楽しさがどんな形で表現されているのか楽しみです。

【制作者プロフィール】
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Magniflop
yuta

1991年生まれ。中学生の時からiアプリでのゲーム開発を始める。
現在は個人ゲーム開発者としてノスタルジックなグラフィック、サウンドを用いた独創的で新しいゲームを目指して日々開発中。

▷Magniflop:http://magniflop.com/

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